エーシングループ
代表取締役
永森 芳信
年を新たにして、再度思うこと。 ~檜ばかりが素晴らしいというわけではないのです~ 素材力その1
今日は素材力についてお話します。
まず1つ目。
「檜が良い、檜でないとだめだ」等盛んに謳うメーカーがありますが、私はそうは思いません。
福井には95%、杉材しかないのです。
若狭地方にはごく一部檜がありますが、福井の山にはほとんど杉しかありません。
杉樹齢50年(江端林業)
確かに檜の方が杉よりも成長が遅く、ねばりもあり、良い香りがすることは事実です。
通し柱等に檜を使うことは決して悪いことではありません。
当社でも通し柱には基本的に5寸の檜を使っています。樹齢80年前後の北山檜です。
色々なメーカーは白太を多く含んでいる檜の材料を土台に使用していますが、私はあまり感心しません。
白太は栄養が多く、白蟻の被害にあう確率が高いのです。
一つ一つの材料を適材適所に使用することは昔から行われていたことで、歴史が証明しています。
詳しくは当社のHP ~とってお木の話~ を見てください。
全て檜が良いというわけでは決してないのです!
以前当社が広島の業者から檜を入れたときのお話です。
広島の業者は「なぜ福井の人は檜、檜というのですか。我々が檜を福井に持って行き、そして福井の杉を持って帰ると高く売れるのです。福井で育ち風雪に耐えた木材はねばりがあり、評価が高いのです。福井の人は無いものねだりなのですねー」といわれたことがありました。
私も「うーん、そうだなぁ。その通りだ。」
的を射た一言でした。
自分の足元に素晴らしい素材があるということを思わされた出来事です。
そのことがあって、広島の檜や四国の檜、九州の檜というのは当社では使わないようになりました。
当社では構造材では池田杉・河田杉・吉野杉・三重杉を、化粧材では北山杉・秋田杉・北山檜・吉野檜・木曽檜(木曽地方の東濃檜)を使用しています。
ほとんどの方はご存知の木材でしょう。要するに「名産」です。
名産と呼ばれる産地では、土壌がやせていること・手入れする山主さんが成木になるまで5回ほど枝打ちをを行います。(この作業のおかげで密な年輪になります)
そんな山主たちが何世代も山の管理をしています。
そのため、銘木が育つ環境にあるのです。
(荒れ果てた山)
管理されていない山は、取れる材料(良木)が極端に減ってしまいます。
(江端林業さんの管理された山)
(伐採の様子)
肉でたとえると、神戸牛と、アメリカ牛やオーストラリア牛。
値段も味も違いますよね。
どこの産地の木を使っているかということを、我々はお客様に明確にお伝えする義務があるのです。
住まいは高価な買い物で、一生物です。
どこの馬の骨か分からないのでは困りますね!